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黒川の菊炭(池田炭)
《菊炭》
池田炭の名前で知られるこの炭は、室町時代から盛んに焼かれ、銀の精錬用として発展してきました。一帯には戦国時代から1973年まで操業されていた多田銀山をはじめとする、多くの銀、銅を生産する鉱山がありました。奈良の大仏を鋳造した銅も付近の銅山から産出されたそうです。そのための木炭の需要が優秀なお茶炭を生む背景にありました。良質の木炭は池田、大阪方面に出荷され、やがて京都のお茶席などに使われるようになりました。
豊臣秀吉が池田の久安寺で茶会を催した時に、好んで使われました。この久安寺では1145年から1870年まで宮中の御茶会用として池田炭を献上してきました。宝暦年間に出版された「日本山海名物図絵」には、「摂州池田奥山より出るもの、炭の名物なり」と記されています。
上質の茶の湯炭の条件として、しまりがあること、樹皮が密着していること、切り口が菊の花のように美しい割れ目があり、真円に近いこと、樹皮が薄いこと、などこれらの条件を満たしているのが池田炭と絶賛されてきました。
『茶湯古事談』に「池田炭といヘハ、池田にて焼と覚へしハ誤也、摂津国多田の庄・一くらといふ所
にてやき、池田の市へ出すゆへ池田炭といふ、本名一くら炭といふ也、昔より茶湯にハ是を最上とす、
しかし佗てハ京てにハ小野炭・鞍馬炭、美張辺にてハ伊勢炭、江戸辺にてハさくら炭を用るなり、切
て雨にあて用るかよしとなん 」とあります。
燃え尽きた後にも白い灰が粉雪のように残るなど風情、火付き、日持ちがよいなどで、今もお茶席には欠かせない炭として大切にされています。
この池田炭の伝統を受け継ぎ、この道55年の今西さんが丹精込めて造り上げた炭です。